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相続開始前3年以内の贈与は無効?贈与加算できる方法とは

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生前贈与を活用することで、相続税の負担軽減になります。

しかし、相続開始前3年以内に贈与した場合、相続税の対象となるということをご存知でしょうか。

当記事では贈与税課税の仕組みや、相続開始前3年以内に贈与した場合でも贈与の対象とする方法を解説します。

なぜ生前贈与が相続税の負担軽減になるのか

生前贈与はなぜ相続税の負担軽減になると言われているのでしょうか。
まずはその仕組みを理解しておきましょう。

年間110万円までの贈与は非課税

相続で財産を受け取った場合、相続税がかかります。
一方の贈与税も贈与を受けた際に贈与税がかかります。
なぜ贈与をすることで相続税の負担軽減につながるかというと、年間110万円までの贈与は非課税になることが大きな理由です。
贈与を受けた人が受け取った金額が年間110万円以内であれば贈与税がかかることはないので、生前に少しずつ財産を移転しておくことで、相続税の対象となる財産を減らすことができるのです。
相続税の負担軽減として有効な手段が相続財産を減らすということです。
相続が発生する前に贈与によって相続税の課税対象となる財産を減らしておくことは、相続税の負担軽減に繋がるのです。

贈与には様々な特例がある

贈与には様々な特例が用意されており、特定の目的のために子供や孫に財産を移転することができます。
代表的な特例の一つが教育資金贈与の特例です。
祖父母等から孫に教育資金を贈与した場合、一括で贈与しても1,500万円までは非課税で贈与をすることができます。
もう一つ、よく利用されているのが住宅取得資金贈与の特例です。
令和2年4月1日~令和3年3月31日までの贈与は1,000万円まで(省エネ等住宅の場合1,500万円まで)非課税で贈与をすることができます。
このような特例を利用することで、生前贈与によって相続が発生する前に財産を子どもや孫に移転をすることができます。
その結果、相続税の課税対象となる財産を減らすことができるため、相続税の負担軽減に繋がるのです。
 

相続開始前3年以内の贈与は無効?

確実に相続税の負担軽減に繋がるため、メリットも大きい生前贈与ですが、注意点もあります。
最も注意しておくべき点は、相続財産を受け取る人が相続開始前3年以内に贈与をした財産については相続税の課税対象とするとしている規定です。
この規定は生前贈与加算と言われ、実質的に相続に近い贈与は相続税の対象とする方が適切であると言う考え方によります。
生前贈与加算の制度によって、亡くなる直前にあわてて贈与をしても相続税の課税対象財産として加算されてしまうので、意味が無いと言うことになります。
では、亡くなる直前に行う生前贈与は全く意味がないかというとそうではありません。
次に相続開始前3年以内に行う贈与であっても、相続税の課税対象とならない贈与方法について見て行きましょう。
 

生前贈与加算を回避する方法

生前贈与加算は相続財産を受け取る人が受けた相続開始前3年以内に受けた贈与を相続財産としいて加算する規定です。
そのため、財産を受け取らない人が受けた贈与は生前贈与加算により相続税の対象として課税対象財産への加算が行われないということになります。
そのため、法定相続人ではない孫や子どもの配偶者等に贈与をした場合は生前贈与加算の対象外となるのです。
 

生前贈与の注意点

メリットも大きい生前贈与ですが、相続開始前3年以内に贈与した場合の生前贈与加算以外にも注意点があります。
注意点をしっかり理解しておかないと思わぬ落とし穴にはまることもあります。
生前贈与の注意点を理解しておきましょう。

贈与の方法によっては不公平になる

生前贈与は相続財産を減らすことができるため、相続税の負担になりますが、贈与の方法によっては相続人間で不公平となってしまうケースがあります。
その代表的な例が、少しでも相続財産を減らそうと、孫や子どもの配偶者も含めて贈与を行った場合です。
例えば、子どもが2人いて、その長男が独身の場合です。
もう一方の次男に配偶者と子供が3人いたとしましょう。
一人につき110万円の贈与を5年間続けた場合、長男には550万円(110万円×5年間)の贈与になります。
次男の家族には2,750万円(110万円×5人×5年間)の贈与をすることになります。
家族の人数には関係なく、長男と次男の法定相続割合は同じですが、このように生前贈与によって不公平が生じてしまう可能性もあるのです。
生前贈与をする場合は相続人間で揉め事にならないように相続税だけでなく、どのように配分するかにも気を配って行う必要があります。

名義預金とならないように注意する

生前贈与をした場合に実質的な贈与とみなすことができない場合、名義預金として相続税に加算されてしまうことがあります。
名義預金とは名義上は他の人に移しているものの実質的な支配関係にあり、その人が自由に使えないような預金のことです。
祖父母から孫等に贈与をする際には若い孫が無駄使いをしないようにと通帳や印鑑を預かっているようなケースが多くあります。
名義預金とみなされてしまうと、生前贈与の意味が全く無くなってしまうため、名義預金と判断されないように十分注意しましょう。
 

まとめ

生前贈与は確実に相続財産を減らすことができる方法として非常に有効な方法の一つと言えるでしょう。
実際に相続税の負担軽減として生前贈与を行う資産家が多いものです。
しかし、相続開始前3年以内の贈与は相続税として加算する生前贈与加算には十分に留意する必要があります。
生前贈与加算に対処するためには長期間かけて少しずつ贈与していくか、財産を相続しない親族に贈与をするしかありません。
また、生前贈与には生前贈与加算にも注意しておくべきことがあります。
注意点の一つ目は相続人間で不公平が生じる可能性があることです。
二つ目は名義預金です。
生前贈与は効果の大きい相続税の負担軽減方法ですが、注意点をしっかりふまえておかないとトラブルに発展したり、思ったほど効果を得られなかったりする場合もあります。