グッドエフェクト税理士法人 > 記事一覧 > 遺産分割調停でかかる費用はどれぐらい?
遺産相続争いが起こって相続人同士で話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立てるのが有効です。
とはいえ、遺産分割調停を申し立てるには費用がかかります。
どれくらいの費用がかかるのかが気になってなかなか申立てができないという方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、遺産分割調停でかかる費用について詳しく解説していきます。
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遺産相続争いがもつれたことによって遺産分割調停を申し立てることになった以上、費用は相続人全員で分担したいと考える方は多いと思います。
しかし、残念ながら遺産分割調停にかかる費用はすべて申し立てた人が負担することになります。
他の相続人に負担を求めることができません。
これでは不公平な気もしますが、そうであるからこそ、どれくらいの費用がかかるのかを把握した上で遺産分割調停を申し立てて、納得のいく結果を目指しましょう。
家庭裁判所で遺産分割調停を行うためにかかる費用は、大きく次の2種類に分けることができます。
以下、それぞれについて詳しくご説明します。
自分で遺産分割調停を申し立てる場合でも専門家に依頼する場合でも、次の3種類の実費は必ず必要になります。
事案によってはさらに実費がかかる場合もあります。
家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる際に手数料を納めなければなりません。
手数料は現金ではなく、収入印紙を申立書に貼って提出することによって納めます。
金額は1,200円分です。
郵便切手も遺産分割調停の申立ての際に家庭裁判所に予納します。
家庭裁判所では調停の当事者への連絡などのために郵便切手が必要になります。
連絡用の通信費を現金ではなく、直接郵便切手を提出し予納することになっています。
金額は調停の当事者の人数によって異なりますし、家庭裁判所によっても異なるので、申立前に管轄の家庭裁判所に問い合わせて確認する必要があります。
ただ、多くの場合は数千円程度で、よほど当事者の人数が多くない限り1万円を超えることはありません。
調停終了後に切手が余った場合は返還されますが、調停の途中で足りなくなった場合は追加で予納を求められることもあります。
遺産分割調停を申し立てるためには、数多くの必要書類を集めなければなりません。
戸籍謄本類や住民票、不動産の登記事項証明書や固定資産税評価証明書などさまざまな書類が必要になります。
これらの書類を取得するために手数料が必要になることもあります。
1通当たりの取得手数料の金額は以下のとおりです。
戸籍謄本と住民票、固定資産税評価証明書の取得手数料は自治体によって異なりますが、多くの自治体では上記の金額となっています。
戸籍謄本類と住民票は遠方の自治体の役所から郵送で取り寄せなければならない場合も多くあります。
その場合は往復の送料もかかります。
ただ、普通郵便で十分です。
登記事項証明書については、オンライン申請で取得すれば480円(窓口取得)または500円(郵送)になります。
被相続人が高齢で相続人が多い場合は数多くの戸籍謄本類や住民票を取り寄せなければなりません。
遺産のなかに不動産が多い場合も登記事項証明書を何通も取り寄せる必要があります。
ほとんどの場合は総額で1万円もあれば十分に足りるでしょう。
以上の実費はどんな事案でも必ず必要になります。
ただ、事案によってはその他にも実費がかかる場合があります。
例えば、遺産である不動産の評価額に争いがある場合は、不動産鑑定が必要になることもあります。
不動産鑑定士に鑑定を依頼すると、数十万円はかかります。
この費用は評価額を争って鑑定を希望した人の負担になるのが原則ですが、多くの場合は結果的に申立人が負担せざるを得ないでしょう。
ただし、多額の費用を支払って鑑定しても必ずしも望む結果が出るわけではありません。
できる限り、固定資産税評価証明書など既にある資料に基づいて話し合いを進めた方がお互いのためになることが多いといえます。
弁護士や司法書士といった専門家に遺産分割調停を依頼するためにどれくらいの費用がかかるのかは気になる方も多いことでしょう。
依頼費用については弁護士も司法書士も自由に決めることができるので、事務所によってまちまちです。
また、ほとんどの事務所は事件の経済的利益の額に応じて着手金や報酬金を計算するため、遺産が多いほど依頼費用が高額となります。
弁護士の標準的な報酬規程は以下のようになっています。
繰り返しますが、報酬規程は事務所ごとに自由に決めることができるため、必ずしもこのとおりではありません。
以下の表はあくまでも参考としてのものです。
また、司法書士に依頼する場合はこれよりもやや低額になる傾向にあります。
遺産分割の事案では、経済的利益の額は基本的に遺産の時価相当額になります。
ただし、争いのない部分については時価相当額の3分の1が経済的利益の額になります。
上記の報酬規程に従えば、遺産が3,000万円あり、そのうち1,000万円の部分に争いのあるケースでは着手金は92万3,000円、報酬金は184万6,000円となります。
ただし、遺産の時価相当額によって必ずしも事案解決のための労力に違いがあるわけでもないことから、報酬規程のとおり杓子定規に費用を決める弁護士ばかりではありません。
争いの程度に応じてざっくりと費用を決定する弁護士も多くいます。
そのような事情もあり、依頼費用はどの専門家に依頼するかによっても大きく異なってきます。
すごくおおざっぱにいうと、遺産分割調停を専門家に依頼するなら、着手金・報酬を合わせて50万円~100万円程度は少なくとも用意しておきたいところです。
専門家に依頼するには安くない費用がかかるので、自分で遺産分割調停を申し立てようと考える方もいらっしゃるでしょう。
それも悪くありませんが、肝心の遺産分割で納得のいく結果が得られなければ元も子もありません。
依頼費用を支払ってでもそれを上回る利益を得られるかどうかというコストパフォーマンスを考慮して、専門家に依頼するかどうかを検討しましょう。
依頼するなら、費用の安さだけにこだわるのではなく、遺産分割に詳しい専門家に依頼することが大切です。
弁護士や司法書士にもそれぞれ得意分野と不得意分野があります。
遺産分割をほとんど取り扱っていない弁護士や司法書士も多くいます。
後悔しないためには、遺産分割に強い専門家を探して依頼しましょう。