グッドエフェクト税理士法人 > 記事一覧 > いらない土地を相続放棄する方法は?放棄したらどうなる?
相続にあたって遺言書がなく、かつ、相続人が複数いる場合は、遺産分割協議が原則です。
遺産分割協議とは、相続人と相続する財産・債務が確定した後に、相続人全員でそれらの遺産を誰がどれだけ取得するのかを決める協議のことです。
各相続人が取得する割合は自由であり、全員の合意があればどのような配分であっても問題ありません。
そこで、この協議により土地を取得した時に考えるべきことはなんでしょうか?
さらに、問題のある土地であれば、相続しない方法はあるのでしょうか?
今回は、相続による土地の取得について考えてみます。
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土地が分筆されているか、分割されているかでは少し事情が違います。
先にその違いをおさえておきましょう。
分筆と分割は、ともに一つの土地をいくつかに分けることです。
登記簿上、複数の土地として登記されるのが「分筆」であるのに対し、登記はそのままで、それぞれの敷地が建築基準法の基準を満たして建物を建築できるように分けることを「分割」といいます。
要するに、分割だけではその分割後の敷地だけを売却することはできません。
まずは、登記簿で対象となる土地の現況をつかんでおきましょう。
次に相続による土地の分け方にはどんなものがあるのか見てみましょう。
土地を遺産分割する方法としては、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割という方法があります。
では、順にこの4つの方法をみていきましょう。
まず、現物分割とは、文字通り不動産を複数に分割して、それぞれを現物で相続する方法です。
この方法によると、登記上複数に分けることとなります。
すなわちそれぞれ分筆されます。
次に、代償分割とは、特定の相続人が不動産を相続し、他の相続人に対して土地代を現金で支払うという方法です。
不動産が分割しがたい場合や、他の相続人が現金(代償金)で精算したほうがいいという場合に有効な方法です。
さらに換価分割とは、相続した不動産を売却し得られた代金を複数の相続人で分割する方法です。
最後に、共有分割があります。
これは遺産を共有取得する方法で、複数の相続人の共有名義のままにして不動産を相続する方法です。
これら分割方法のうち、よく用いられる方法に代償分割がありますが、相続時に公平に分割したつもりであっても、地価が大きく値上がりし、代償金を得た他の相続人に不満が生じるケースもあります。
そして、土地を売却した場合には、譲渡所得税が課税されます。
一般に、土地については一旦相続手続きを始めるとその変更が非常に難しくなります。
なぜなら、土地を売却してしまえば、後から買戻しをすることはほぼできない上、地価は非常に変動幅が大きいためです。
預貯金と違って、現物である不動産はその状態や権利関係をよく調べてから相続をすべきでしょう。
そして場合によっては、相続放棄を選択するほうが良いときもあることを念頭におきましょう。
まず、対象となる不動産にローンが残っている場合があります。
一般的にはその不動産を相続した人がローンも承継することとなります。
このような借金がある場合は、相続放棄も検討材料となります。
しかしながら不動産ローンを組むときには、団体信用生命保険がよく利用されます。
ローンの返済中に万が一のことがあった場合に保険金により残りの不動産ローンが弁済される保険ですので、ローンの内容をよく調べましょう。
万が一不動産ローンを相続する場合は、借入先金融機関はローンの承継について相続人の資力などを考慮しますので、金融機関と相談しながら相続の手続きを進める必要があります。
次に、土地の場合は売却や寄付が考えられます。
売却が可能であればあまり悩むことはないでしょう。
寄付については、例えば市町村に対し寄付について相談することは可能ですが、例は多くありません。
一番効果的な方法は、隣地の所有者に寄付を申し出る方法が挙げられますが、寄付を受け入れた側には贈与税が課税されます。
家や土地の相続においては、今後住む予定がなくても不動産を所有する限り固定資産税がかかります。
市町村によっては条例で雑草の除去が義務付けられていることもあるため、ときどきはその土地に足を運ぶ必要があり、火災等が起きた場合の管理責任も問われます。
これらの土地には古家が残っている場合も考えられますし、土地によっては崖崩れの心配のある場合もあります。
つまり、所有によるランニングコストは永遠に発生します。
このように相続する価値のない土地の場合、相続放棄が考えられます。
ただし、相続放棄によって他の財産は得られず、他の相続人が影響を受けます。
放棄にあたっては相続人間でよく話し合って、他の財産が小さいのであれば、相続人全員で相続放棄をすることも視野にいれましょう。
例えば、相続人全員が家庭裁判所に相続放棄の手続きをし、相続放棄について「申述受理通知書」を受けたとします。
しかし、その時からその土地が国の財産となるわけではありません。
相続放棄後もその土地の所有者は故人であり、固定資産税こそ課税されませんが、注意義務や管理義務責任は残ります。
その土地の管理義務から解放されるのは、次の土地の管理者が現れてからとなります。
相続人全員が相続放棄をした場合には、利害関係人又は検察官が家庭裁判所に請求することにより、「相続財産管理人」が選任され次の管理者となります。
これによってやっと土地の管理責任義務から解放されることになるのです。
いかがでしたでしょうか?
問題のある土地の相続にあたっては、所有するコスト、売却するための費用、寄付するにあたっての影響等々を考えた上、他の相続人と相談し相続放棄の検討をすべきでしょう。
ここでのポイントをまとめると、
できれば、土地については相続が発生する前に何らかの対策を講じておくことが望ましいと思います。
親族の意見が食い違ったり、専門的な知識が欲しいときは、司法書士や弁護士などの専門家に相談してみるのがいいでしょう。