グッドエフェクト税理士法人 > 記事一覧 > 土地の相続にかかる税金は?計算方法や注意点は?
土地を相続すると税金がかかります。
それはわかっていても、いったいどれくらいの税金がかかるのか、その税金はどのようにして計算すればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。
たしかに、土地の相続にかかる税金の計算方法は複雑です。
計算を間違うと税金を払いすぎたり、逆に過少申告によるペナルティを受けたりする恐れもあります。
しかし、おおよそどれくらいの税金がかかるのかを計算するのは簡単です。
今回は、土地の相続にかかる税金の計算方法や注意点を解説していきます。
関連記事:相続税まるわかり|税率や基礎控除の計算方法から土地・不動産の相続まで
土地を相続すると「登録免許税」「固定資産税」「相続税」という3種類の税金がかかります。
登録免許税は土地の相続登記をするときにかかる税金で、「固定資産税評価額×0.4%」なので、それほど大きな金額にはなりません。
固定資産税は土地を相続した後に毎年かかる税金で、計算式は「固定資産税評価額×1.4%」です。
この2つの税金は相続以外でも土地を取得したらかかる税金ですが、相続の場合に気になるのは何といっても「相続税」です。
土地の相続税について詳しくみていきましょう。
土地を相続しても、すべての場合に相続税がかかるわけではありません。
相続税には基礎控除といってすべてのケースで遺産総額から差し引ける金額が設定されていて、その範囲内であれば相続税はかかりません。
基礎控除額の計算式は「3,000万円+ 600万円×相続人の数」です。
例えば、夫が亡くなって妻と子ども2人が相続する場合なら、遺産総額が4,800万円(3,000万円+ 600万円×3)までは相続税がかからないのです。
土地の相続税の計算式は「評価額×税率」です。
この計算式だけをみれば単純ですが、「評価額」を計算するのが少し複雑です。
ここでいう「評価額」は固定資産税評価額とは異なり、別の計算をする必要があります。
その計算方法として、以下の2種類があります。
路線価方式とは、国税庁が土地ごとに定めた路線価を使って評価額を計算する方法です。
主に市街地や住宅地に路線価として1㎡あたりの価格が設定されています。
路線価が設定されている土地については、この路線価方式で計算することになります。
評価額の計算式は「路線価×各補正率×面積」となります。
路線価は国税庁ホームページの「路線価図」で、土地の面積は登記事項証明書で簡単に調べることができます。
ただ、土地や形状や立地によって条件がさまざまに異なるため、評価額を計算するために各種の補正率が定められています。
補正率も国税庁のホームページで調べることができますが、実際にはどの種類の補正率に該当するかの判断が難しいこともあるので、慎重に調べましょう。
市街地や住宅地以外で、路線価が設定されていない土地もたくさんあります。
その場合は、倍率方式によって評価額を計算します。
倍率方式とは、固定資産税評価額に一定の倍率をかけて評価額を計算する方法です。
固定資産税評価額は、土地の所有者に毎年送付される「固定資産税納税通知書」で、倍率は国税庁ホームページの「評価倍率表」で確認できます。
土地の相続税を正確に計算するためには、上記の路線価方式または倍率方式を使う必要があります。
しかし、おおよその相続税を知るためなら簡単に計算する方法もあります。
その計算式は、「固定資産税評価額×1.14」です。
実は、土地の固定資産税評価額は時価の70%程度、相続税評価額は時価の80%程度になるように設定されています。
したがって、固定資産税評価額に1.14をかければ、おおよそですが相続税評価額を求めることができるのです。
土地の評価額の計算ができたら、それに相続税率をかければ相続税を算出できます。
ただ、相続税率は遺産総額に応じて定められています。
そのため、まずは遺産総額を確定させて相続税率を求めて、その後に初めて土地にかかる相続税を計算することができるのです。
例として、相続税評価額3,500万円の土地と預貯金など他の遺産が2,500万円あるケースで考えてみましょう。
相続人が妻と子ども2人であれば、基礎控除額は4,800万円なので、課税遺産総額は1,200万円(3,500万円+2,500万円-4,800万円)となります。
課税遺産総額1,200万円の場合、相続税率は15%で、50万円の控除があります。
したがって、「1,200万円×15%-50万円」で130万円が相続税となります。
このうち、土地にかかる相続税は「130万円×3,500万円/6,000万円」で75万8,333円です。
この相続税を、各相続人が相続割合に応じて納めることになります。
土地にかかる相続税の計算方法をご説明しましたが、ほかにもいくつかの注意点があります。
土地の相続税を計算する際にはさまざまな特例があり、一定の金額を土地の評価額から控除することができます。
特例は種類も多く、適用される要件も複雑なので、下記の記事で解説します。
⇒相続税を控除できる特例について相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った翌日から10ヶ月以内です。
この期限内に申告をしないと、本来の相続税のほかに加算税や延滞税などのペナルティが課されます。
土地を相続したら、早めに相続税を申告しなければなりません。
相続税の計算は複雑なケースもありますが、正確に計算しなければなりません。
本来の税額よりも高く税金を払いすぎた場合、税務署は何も指摘してくれません。
あとで自分で払い過ぎたことに気がつけば、「更正の請求」をすることで取り戻せますが、気づかなければそのままです。
一方、本来の税額よりも少ない金額で申告した場合は修正申告をして差額を納めることになりますが、加算税や延滞税が課せられることがあります。
悪質と判断された場合には脱税として刑罰もあるので、くれぐれも注意が必要です。
土地を相続したら、まずは基礎控除額を計算して相続税がかかるかどうかを判断しましょう。
相続税がかかりそうな場合は、正確に計算する必要があります。
計算が簡単なケースもありますが、土地の評価額の計算が複雑で難しいケースもあります。
悩んでいると相続税の申告期限が迫ってしまい、加算税や延滞税などのペナルティも気になってしまいます。
土地の相続税の計算が難しいと感じたら、早めに税理士などの専門家に相談してみることをおすすめします。