相続税の申告は10ヶ月以内
相続放棄と限定承認に並ぶ重要な期限となるのが相続税の申告です。
相続税の申告は相続が発生したことを知った日から10ヶ月以内に行う必要があります。
10ヶ月と言うとある程度余裕がある期限が設定されているように感じるかもしれません。
しかし、実際は10ヶ月と言う期間は非常に短いと考えた方が良いでしょう。
まず相続が発生した直後は葬儀や香典返し、電気やガスなどのライフラインの手続きなどが必要です。
大切な人を失った悲しみに暮れる間もなく忙しい日々が続きますので、2、3ヶ月はあっという間に過ぎてしまいます。
その後誰が何をどれくらい相続するか、遺産分割協議が始まります。
相続人が多い場合や遠地に住む相続人がいる場合はなかなか集まることもできませんので、配分を決めることにも時間がかかります。
また、関係の悪い相続人がいる場合は配分を巡って争いに発展することもあります。
無事配分が決定したところで初めて相続税の申告手続きを始めることができます。
相続税の申告は不動産の評価など複雑な計算が必要になりますので、申告手続きにも時間がかかります。
これら一連の作業を考えると10ヶ月という期間は非常に短い期間と言えるでしょう。
では相続税の申告期限である10ヶ月を過ぎるとどうなってしまうのでしょうか。
期限が過ぎると「期限後申告」になってしまい、各種特例が使えなくなるという大きなデメリットが発生します。
相続税の申告をするうえで配偶者控除や小規模宅地の特例などの各種特例は非常に大きい節税効果があるため、このような特例が使えないことは大きなデメリットです。
また、相続税をなかなか支払わない場合、年2.6%(2020年時点)の延滞税が課されます。
延滞する期間が長くなればなるほど延滞税により税金が増えていってしまいますので、早めに申告して納税を済ませることが大切です。
まとめ
相続には様々期限があります。期限を過ぎてしまうと自分自身が不利益を被ることになります。
まずは「相続が発生したことを知った日」という期限の起算日を知っておくことが重要です。
また、自分が相続人であることを知らなかったとしても、被相続人が亡くなったことを知っていれば期限はスタートしてしまいますので注意が必要です。
相続手続きは様々な期限がありますが、その中でも特に大切なものが、相続放棄、限定承認の期限となる3ヵ月と相続税の申告期限となる10ヶ月です。
この二つの期限に遅れると大きなデメリットが発生しますので必ず守るようにしましょう。
また、間に合いそうにない時は、相続放棄や限定承認の場合は家庭裁判所に理由を申し出て期限を延長してもらうことが可能ですので、必要に応じて家庭裁判所に申請することも重要です。