グッドエフェクト税理士法人 > 記事一覧 > 相続税の配偶者控除の申告に必要なこと4つ
配偶者控除を適用すると1億6,000万円または配偶者の法定相続分までは非課税で財産を相続できます。
その控除額は非常に大きく、配偶者が財産を相続する際は必ず適用しておきたい制度です。
当記事では配偶者控除を適用するために必要な条件を4つご紹介します。
配偶者控除を適用するためには法律上の配偶者であることが必要です。
内縁関係の夫や妻は配偶者控除を適用することができません。
婚姻届けを提出した法律上の配偶者であることは配偶者控除の大前提となりますので、覚えておきましょう。
配偶者控除を適用するためには相続税の申告を行う必要があります。
相続税の申告がどのようなものなのか、確認しておきましょう。
配偶者控除を適用するためには原則期限内に相続税の申告を行う必要があります。
相続税の申告は相続人が相続発生を知った時(被相続人が亡くなった時)から10ヶ月以内です。
相続税の申告をするためにはまず、法定相続人を確定する必要があります。
法定相続人を確定するためには被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍が必要です。
相続人を確定することができたら、被相続人の財産を確定する必要があります。
財産の証明には現金や株式、不動産等の評価を証明する書類を準備する必要があります。
法定相続人と財産を確定することができたら、それを基に誰が何を相続するかを記載する遺産分割協議書を作成する必要があります。
相続の配分がすぐに決定すれば問題ありませんが、財産配分に関して相続人間で争い発生すると思いの外、時間がかかってしまうこともあります。
10ヶ月という期間は長いように感じられるかもしれませんが、実際には非常に短い期間で多くの手続を行う必要があるため、早めに準備を進めた方が良いでしょう。
配偶者控除を適用するためには原則期限内に相続税の申告を行う必要がありますが、申告期限後に配偶者控除を適用することができます。
相続財産の配分をするうえで相続人間で争いが発生し、なかなか配分が決まらないこともあるでしょう。
このような場合に、まずは配偶者の配分のみを決定して申告をすると言う方法があります。
配偶者控除を適用するためには必ずしもすべての財産の配分が決定している必要はありません。
配偶者が相続する財産が確定していれば、それを基に相続税の申告を行い、配偶者控除を適用することが可能です。
配偶者の財産を確定できない場合は配偶者控除を全く適用できなくなるかというとそうではありません。
配偶者の財産も確定することが難しい場合は、「申告期限後3年以内の分割見込み書」を提出することで、財産の分割が決まってから配偶者控除を申告期限後でも適用することが可能です。
申告期限後3年以内の分割見込み書を提出した場合は、遺産分割の内容が決定してから4カ月以内に更生の請求を行うことで配偶者控除を適用することができます。
配偶者控除を適用するためには「配偶者の税額軽減の計算書」を提出する必要があります。
配偶者の税額軽減の計算書は相続税の申告書類の第5表と言われるもので、相続税の申告書は全部で第1表から第15表まであります。
相続税の申告書は必ず提出するものと必要に応じて提出するものがあります。
必ず提出するものは誰がいくら相続税を支払うかが記載されている第1表、相続税の総額が記載されている第2表、課税対象財産の財産目録を記載する第11表、種類別に財産の一覧表を記載する第15表等があります。
これらの書類は相続税の申告を行う際には必ず必要ですが、財産の種類や各種控除を適用する際に必要なものもあります。
その一つが配偶者控除を適用することができる第5表です。
配偶者控除を適用するためには第5表を提出することが条件となりますので、配偶者控除を適用した結果相続税が0になる場合でも、相続税の申告と第5表の提出が必要となります。
相続税が0になるから申告をしなくてもいいと言う訳ではありませんので、注意しましょう。
配偶者控除は非常に大きな控除があるため、相続税の申告をする際には必ず適用しておきたい制度です。
しかし、配偶者控除を適用できるからといって配偶者が多くの財産を相続した方が良いかというとそうではありません。
配偶者は一般的に年齢が近いため、二次相続もふまえてトータルで相続を検討する必要があります。
二次相続とは配偶者が財産を相続してから次の相続が発生することです。
例えば、法定相続人が配偶者と子供二人であったとしましょう。
配偶者は被相続人と年齢が近いことが多く被相続人が亡くなってから数年後に亡くなるケースも多くあります。
一次相続では配偶者が多くの財産を相続した方が配偶者控除を適用できるため、相続税の支払いが少なくなりますが、一次相続で配偶者の財産が増えてしまうと二次相続でより多くの相続税がかかってしまう場合があります。
その理由は相続税が被相続人の財産が多ければ多いほど相続税の税率が上がっていくという点にあります。
例えば、夫婦ともに1億円の財産を保有していた場合、配偶者が一次相続で財産を一切相続しない場合の二次相続の課税対象財産は1億円です。
しかし、配偶者が一次相続で全ての財産を相続してしまうと、二次相続の課税対象財産が2億円にもなってしまいます。
また、二次相続の際には法定相続人が一人減ることで基礎控除額も減少するため、多くの相続税がかかってしまうのです。
配偶者控除を適用する際は、一次相続での相続税額だけでなく、二次相続も踏まえて財産配分を検討する必要があります。
判断に迷う場合は税理士等の専門家に相談してみると良いでしょう。
相続税の配偶者控除は適用額が大きく、配偶者が財産を相続する場合は必ず適用しておきたい制度です。
配偶者控除を適用する場合は原則期限内に相続税の申告を完了する必要がありますが、相続人間で争いが発展して配分が決められない場合などは、申告期限後3年以内の分割見込み書を提出することで、期限後に配偶者控除を適用することが可能です。
また、配偶者控除を適用する際は二次相続もよく考慮して配分額を決定する必要があります。
一次相続を重視して配分を決定すると、二次相続も含めるとかえって相続税が多くかかることがありますので注意しましょう。