あくまで、贈与を受けた人の金額に対して課税されますので、贈与をする人が複数の人に贈与をした場合でも贈与を受けた人が110万円を超えなければ課税されることはありません。
例えば子供と孫合計5人に110万円ずつ贈与をした場合、年間550万円贈与をすることになりますが、贈与を受けた側の受け取った金額は110万円以内となるため、課税されることはありません。
各種特例を使った贈与手続き
贈与には基本となる暦年贈与での贈与以外にも様々な特例制度があります。
特例制度を活用して生前贈与を行うことで、効果的に贈与することが可能です。
様々な特例を活用した場合の贈与手続きについて確認していきましょう。
教育資金の一括贈与を活用する場合
まずは教育資金の一括贈与の概要と手続き方法を確認しておきましょう。◆教育資金の一括贈与とは
教育資金の一括贈与とは祖父母などから教育資金を贈与する際に最大1,500万円まで、非課税で贈与することが可能となる制度です。
贈与した資金は信託銀行などの専用の信託口座に入金され、贈与を受けた人は信託口座から教育資金として利用する際に出金し、出金する際に領収書を提出する必要があります。
◆教育資金の一括贈与を行う場合の手続き方法
教育資金の一括贈与を行う場合は教育資金贈与を取り扱っている信託銀行などで口座を開設し、手続きを行う必要があります。
贈与の手続きには戸籍謄本など、贈与する人と贈与を受ける人の関係がわかるものを用意する必要があります。
住宅取得資金贈与の特例を活用する場合
次に住宅取得資金贈与の特例の概要と手続き方法を確認しましょう。◆住宅取得資金贈与の特例とは
住宅取得資金贈与の特例とは、父母や祖父母などから年間所得2,000万円以下の子や孫が住宅を取得する際に行う贈与が一定額まで非課税になる制度です。
令和2年4月1日~令和3年3月31日の期間は省エネ住宅の場合、1,000万円までです。
省エネ住宅以外の場合は500万円まで非課税で一括贈与することができます。
この制度を利用することで住宅取得資金を非課税で贈与することができるため、これから住宅を取得しようとする子や孫がいる場合にはぜひ活用したい制度です。
◆住宅取得資金贈与の特例を利用する場合の手続き方法
住宅取得資金贈与の特例を利用する場合には、結果的に贈与税がかからない場合でも贈与税の申告が必要です。
贈与税の申告には以下の書類が必要です。
- 戸籍謄本(贈与をする人と受ける人の関係を証明するため)
- 贈与を受ける人の源泉徴収票(贈与を受ける人の年間所得が2,000万円以内であることを確認するため)
- 不動産の登記事項証明書(非課税の対象住宅であることを確認するため)
- 売買契約書または工事請負契約書(住宅を取得したことを証明するため)
上記の書類を添えて贈与税の申告を行うことで贈与の特例を活用することができます。
特例の適用を受けるためには申告を行う必要がありますので、特例を利用する場合は申告を忘れないようにしましょう。
夫婦間で居住用不動産を贈与した場合の特例を活用する場合
夫婦間で居住用不動産を贈与した場合の特例を活用するケースについて詳しくみていきましょう。◆夫婦間で居住用不動産を贈与する場合の特例とは
婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産を贈与した場合、2,000万円まで非課税で贈与することが可能です。
この制度は暦年贈与制度と併用することが可能ですので、2,110万円まで贈与できるということになります。
◆夫婦間で居住用不動産を贈与する場合の特例を利用する場合の手続き方法
この特例を利用する場合には以下の添付書類をつけて税務署に申告する必要があります。
- 戸籍謄本(贈与をする人と受ける人の婚姻期間が20年以上であることを証明するため)
- 不動産の登記事項証明書(夫婦間で贈与が行われたことを証明するため)
夫婦間で居住用不動産を贈与する場合の特例を利用する場合には上記の書類を準備して申告を行う必要があります。
申告をしっかり行わなければ特例を利用することができませんので注意しましょう。
まとめ
生前贈与をする場合の注意点について解説しました。生前贈与は相続税対策として非常に有効な方法です。
相続税対策を検討する際には生前贈与は有力な選択肢の一つとなるでしょう。
暦年課税で基礎控除の範囲内となる場合は申告する必要はありません。
しかし、基礎控除を超えて贈与をする場合は贈与税の申告が必要となりますので、忘れずに申告をするようにしましょう。
また、生前贈与は各種特例を活用することで、税制面でのメリットを享受しながら配偶者や子供、孫に贈与をすることが可能です。
特例を活用する場合は、必要書類を揃えて申告をしないと特例が受けられず大きな負担増につながる可能性もありますので、申告漏れがないように注意する必要があります。
手続き方法等に不明点がある場合は税理士などの専門家に相談するようにしましょう。