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遺産分割調停の申立てで必要な書類は?

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被相続人が亡くなると、遺言書がない場合は相続人同士の話し合いによって遺産の分け方を決めることになります。

話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立てなければなりません。

遺産分割調停を申し立てるためには、さまざまな書類が必要になります。

多くの方にとって聞き慣れない書類が数多く必要になるため、人によっては混乱しなかなか申立てができずに悩んでしまうこともあるでしょう。

そこでこの記事では、遺産分割調停の申立てで必要な書類について分かりやすく整理して解説していきます。

関連記事:相続財産はどう分ける?遺産分割から相続登記までの流れ

 

必要な書類は大きく分けて3種類

遺産分割調停の申立てに必要な書類は本当に数が多いので、一度に集めようとすると混乱しやすくなります。

そこで、必要な書類を以下の3種類に分類し、ひとつずつチェックしていくのがおすすめです。

  • 申立書本体
  • 添付書類
  • 証拠書類

それでは、この3種類についてそれぞれご説明します。

 

申立書本体

遺産分割調停の申立てで最も基本となる書類は「遺産分割調停申立書」です。

遺産分割調停申立書は簡潔な書式が家庭裁判所にあります。

ただ、申立書はそれだけでは不十分であり、以下の付属書類と一体となって完成するものです。

  • 当事者目録
  • 遺産目録
  • 相続関係図
  • 申立の実情
  • 特別受益目録

以上の書類についてはすべて、家庭裁判所に書式が備え置かれています。

裁判所のホームページからもダウンロードして使用できます。

当事者目録

当事者目録には、すべての相続人の住所・氏名・生年月日・本籍・被相続人との続柄を記入します。

遺産目録

遺産目録には、遺産分割の対象となる相続財産をすべて記載します。

家庭裁判所に用意されている書式は「土地」「建物」「現金・預貯金・株式等」に分けられています。

それぞれ、財産を特定できるように正確かつ具体的に記載しましょう。

特に土地・建物については登記事項証明書に記載されているとおり正確に記載することが必要です。

相続関係図

相続関係図とは、被相続人と各相続人との相続関係が一目で分かるように図で説明するものです。

裁判所のホームページに見本が掲載されていますが、そのとおりの形式でなくても分かりやすく正確に記載されていれば問題ありません。

手書きで作成しても構いません。

申立の実情

「申立書」そのものは簡潔なので、具体的な事情は「申立の実情」という書式に記載します。

遺産の範囲や管理状況、遺言書の有無、遺産分割協議の有無、希望する遺産分割方法、その他の主張の有無などを書き込む形式になっています。

特別受益目録

特別受益とは、被相続人から生前贈与や遺贈によって受けた特別の利益のことです。

特別受益を受けた人がいる場合は、残っている相続財産を法定相続分で分割すると不公平になるため、その人の相続分を減らすことができます。

 

添付書類

添付書類とは、申立書と一体になるものではありませんが、申立てが適法であることを証明するために提出しなければならない書類です。

具体的には、以下の書類が必要となります。

当事者の身分関係を証明する書類

遺産分割調停の当事者は、相続人全員です。

申立書に記載した当事者の全員が本当に相続人であることと、他に相続人がいないことを証明するために次の書類が必要です。

以下の書類のうち、戸籍謄本類は対象者の本籍地がある市区町村の役所で取得します。

住民票は対象者が住民登録をしている市区町村の役所で取得します。

いずれも家庭裁判所に原本を提出する必要があります。

●被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本類全て

多くの場合は「戸籍謄本」だけでなく「除籍謄本」や「改正原戸籍謄本」も必要になります。

除籍謄本とは、その戸籍から誰もいなくなって閉鎖された戸籍の内容を証明する書類です。

改正原戸籍謄本とは、戸籍簿または戸籍データの様式の改正によって閉鎖された戸籍の内容を証明する書類です。

なお、被相続人の兄弟姉妹が相続人となる場合は、被相続人の父母の出生から死亡までの連続した戸籍謄本類も全て必要になります。

また、被相続人の子または兄弟姉妹が先に亡くなっていて代襲相続人(孫や甥・姪)がいる場合は、本来の相続人(亡くなった子や兄弟姉妹)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本類も全て必要です。

●被相続人の住民票除票または戸籍の附票

被相続人が亡くなったことを証明するために提出します。

3ヶ月以内に発行されたものが必要です。

●相続人全員の現在の戸籍謄本および住民票

相続人全員が生存していることを証明するために提出します。

3ヶ月以内に発行されたものが必要です。

遺産のうち不動産に関する資料

遺産目録に記載した遺産のうち、不動産に関する資料は添付書類として家庭裁判所に提出する必要があります。

必要となる書類は以下のとおりです。

  • 登記事項証明書
  • 固定資産税評価証明書
  • 公図(建物の配置を書き込んだもの)または住宅地図(住居表示があるもの)

登記事項証明書と公図は法務局で、固定資産税評価証明書は対象となる不動産の所在地である市区町村の役所で取得します。

登記事項証明書と固定資産税評価証明書は3ヶ月以内に発行された原本が必要です。

証拠書類

証拠書類とは、自分の主張する事実を証明する書類のことです。

調停も裁判手続きなので、証拠書類を提出することが必要です。

●預貯金の残高を証明する書類

遺産のなかに預貯金がある場合は、残高を証明する必要があります。

そのための証拠書類としては通帳や証書または残高証明書のコピーがあります。

残高証明書は、その口座がある金融機関で取得します。

なお、残高証明書を取得する際には以下の点に注意が必要です。

  • 被相続人が死亡した時点の残高ではなく、最新の残高が記載されたものであること
  • 口座番号が記載されていること
  • 同一の金融機関に口座が複数ある場合は、口座番号ごとに残高が分けて記載されていること
  • 定期預金等については元金の残高だけでなく、現時点で解約した場合の利息額(税引き後)も記載されていること

●株式に関する書類

遺産のなかに株式がある場合は預かり証のコピーが必要です。

預かり証がない場合は取扱証券会社で残高証明書を取得してコピーを提出します。

●自動車に関する書類

遺産のなかに自動車がある場合は、車検証のコピーが必要です。

車検証がない場合は運輸支局等で登録事項証明書を取得してコピーを提出します。

●相続税に関する書類

既に相続税の申告をしている場合は相続税の申告書のコピーが必要です。

まだ申告していない場合や申告不要の場合は必要ありません。

●遺言書がある場合

遺言書がある場合は、そのコピーを提出します。

●その他の証拠書類

裁判所が提出を求めている書類は以上ですが、事案によって他にも書類が必要になる場合があります。

自分の主張を証明できる書類がある場合は、積極的に提出しましょう。

例えば、被相続人の日記やエンディングノート、遺産分割協議で話した内容のメモなどは有益な証拠となる場合が多いです。

 

まとめ

以上の書類をすべて集めるのは大変です。

特に戸籍謄本類はすべてそろえるまでに1~2ヶ月はかかるのが通常です。

しかし、必要書類をすべてそろえるまで遺産分割調停の申立ては受け付けられません。

弁護士や司法書士といった専門家に依頼すれば、必要書類の収集もやってもらえます。

自分で手に負えないと思ったら、早めに専門家に相談してみると良いでしょう。