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遺産分割協議成立申立書とは?どこでもらえる?

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遺産分割協議書が「誰が、どの財産を、どれだけ取得するのか」を相続するのかを明確にした文書のことです。

相続税の申告書と共に税務署へ提出したり、相続登記のために法務局に提出したり、口座名義変更のために金融機関や証券会社に提出したり、車の名義変更のために運輸支局に提出します。

しかし、遺産である自家用車の査定額が100万円以下であった場合、遺産分割協議書でなくとも名義変更をする方法があります

どのような方法なのでしょうか?

遺産分割協議成立申立書とは?

相続により車を取得した場合には、その車の名義変更をしなければなりません。
車の名義変更は陸運支局または自動車検査登録事務所、軽自動車の場合であれば軽自動車検査協会に必要書類をそろえて提出します。
その必要書類には、
  • 戸籍謄本類及び実印
  • 印鑑証明書
  • 遺産分割協議書
  • 車検証、車庫証明
などがあります。
ここで、査定額100万円以下の自動車の場合は、遺産分割協議書に代えて「遺産分割協議成立申立書」という書類で名義変更の手続きを済ませることができるのです。
少々長い名称ですが、遺産分割協議成立申立書は記載が簡単であるため、すぐに売却する場合などの車の名義変更の前に知っておくと便利です。
遺産分割協議書の作成には時間がかかりますが、遺産分割協議成立申立書はその相続人の実印のみで完結します。
申立書類は運輸局のHPからダウンロードできますし、下記の運輸支局でもらうことができます。
 

遺産分割協議成立申立書の書き方

下の書式は、ダウンロードして得た遺産分割協議成立申立書です。
 
 
これをみますと、「民法の規定に基づき遺産分割協議を行なったところ」となっており、遺産分割協議成立年月日を記載する欄があります。
したがって、この書式を利用するには少なくとも遺産分割協議は成立している必要があります
添付資料として遺産分割協議書でなくともよいという意味になります。
遺産分割協議成立申立書の記載にあたっては、次のように日付が4か所あります。
上から日付は古い順に並ぶ必要がありますが、2と3は同日でも問題ありません。
 
  1. 被相続人の死亡年月日
  2. 遺産分割協議成立年月日
  3. 申し立てによる申請の同意年月日
  4. 申請年月日
 
また、この遺産分割協議成立申立書を添付する場合には、対象となる車が査定額100万円以下であることを証明するものとして、次の書類が新たに必要となります。
  • 査定書
  • 査定士証の写し
査定書は自動車の買取業者や日本自動車査定協会などで作成、発行してもらえますが有償です。
査定額が100万円を超えていないかを確認してください。
 

遺産分割協議成立申立書の注意点とは?

残債の確認

相続する車にローン等が残っていないことを確認しましょう。
被相続人が車の所有者かどうかは、自動車検査証(いわゆる車検証)で確認できます。
ただし、車検証の「所有者の氏名又は名称」という欄が必ずしも最新のものとは限らないので、購入業者に確認を取ったり、被相続人の借入金が車購入のためではなかったのかを調査したり、ローンが残っていないかを確認するのです。
万が一ローンが残っている場合には、ローンを引き継ぐ、車を売却してローンを返済するなど、引き継いだ後のことを考える必要があります。
ローンの額にもよりますが、相続放棄するという選択肢もあります。

遺産分割協議成立年月日の確認

単に遺産分割協議書の添付が不要だからといって、早々と遺産分割協議成立申立書を作成してしまっても、この申し立て自体は成立します。
必ず遺産分割協議成立の事実を確認しましょう。
まだ遺産分割協議が確定的でないのに、一人の相続人の勝手な思い込みで車だけの相続が成立してしまうことになってしまいます。
遺産分割協議成立申立書には、「民法の規定に基づき遺産分割協議を行ったところ」と記載しているにもかかわらず、矛盾が生じることとなり、その相続人の責任問題に発展します。
したがって、遺産分割協議成立申立書の利用は、遺産分割協議書で遺産分割協議成立年月日を確認してからにしましょう。
遺産分割協議成立年月日とは、遺産分割協議書に書かれた日付が異なる場合には、遺産分割協議は相続人全員の合意が必要であるため、一番遅い日に成立したものとされます。

保険の引き継ぎの確認

車の名義変更をして乗り続ける場合には、車の任意保険(損害保険)の名義も変更をする必要があります。
名義変更を行わないまま車に乗って事故にあったときに、補償を受けられないことのないようにしたいものです。
たとえそのままで補償を受けられることになっても、保険金の受給には名義変更の手続きが必要になります。
損害保険の名義変更の際には、相続に関する書類として遺産分割協議書が必要となることがあります。
また、契約を解約する場合は名義変更より手続きは簡単に済むのですが、一時払いなどで「解約返戻金」があるときは相続財産となります。
車だけでなく、その保険にも要注意です。

代行依頼をするときは?

車の名義変更は、自分で手続きに行けないときは販売店や代行業者に依頼することができます。
車の名義変更を司法書士に依頼すると手続き完了まで代行してくれます。
費用はかかりますが、戸籍等の取り寄せから車以外の不動産などの相続登記もまとめて依頼すると効率的でしょう。

 

まとめ

ここまでのポイントをまとめますと、
  • 査定額100万円以下の車の相続には、遺産分割協議成立申立書が利用できる。
  • 遺産分割協議成立申立書は遺産分割協議書を準備するよりも簡単である。
  • 遺産分割協議成立申立書を利用するにあたっての注意点は次の3点に気をつける。
車のローンはないか?
遺産分割協議は確実に終わっているか?
車の保険はどうするか?
となります。
故人の思い出のある車を相続し、その後も大切に使うことは自分だけでなく周りの人にも安らかな気持ちを与えるでしょう。
注意点をクリアできたら、是非自ら「遺産分割協議成立申立書」を利用して、相続手続きを進めていきましょう。